坂戸いずみ教会・礼拝説教集

<キリストの愛とともに歩もう>イエス・キリストを愛し、自分を愛し、人を愛して、平和を生み出すことを願います。

「祈り続けるイエス様」

2022年11月27日 待降節第一主日・神学校日礼拝
聖 書 ルカによる福音書22:31-34
説教者 赤岩 英里香神学生(東京聖書学校3年) 

31「シモン、シモン、サタンはあなたがたを、小麦のようにふるいにかけることを神に願って聞き入れられた。 32しかし、わたしはあなたのために、信仰が無くならないように祈った。だから、あなたは立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい。」 33するとシモンは、「主よ、御一緒になら、牢に入っても死んでもよいと覚悟しております」と言った。 34イエスは言われた。「ペトロ、言っておくが、あなたは今日、鶏が鳴くまでに、三度わたしを知らないと言うだろう。」

「祈り続けるイエス様」
 皆さんはいつ頃から教会に通うようになったでしょうか。私の家は、誰も教会に行っていませんでした。しかし私が小学生の時に妹が、教会付属幼稚園(現・こども園)に通っていました。このことがきっかけとなり、小学生の時から教会に行くようになりました。教会に行って学校の違う友達と話したり、遊んだりすることが本当に楽しかったことを覚えています。そして大学生になった時に、牧師先生に「これからは神様を信じて歩んで行きます」と言い、大学1年のクリスマスに受洗(じゅせん)しました。大学を卒業して社会人になり働くようになってからは、日曜日に教会に行けずに、教会に行き神様のお話しを聞いたり、祈ったりしなくなりました。
 私達一人一人は、神様と出会い神様と関係をもつようになりました。今日は、ペトロとイエス様の関係についてルカによる福音書から確認していきましょう。
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 みなさんはペトロのことをすでに知っていると思いますが、ペトロはもともと漁師の仕事をしていました。魚が獲れず困っていた時に、イエス様に助けてもらいました。ペトロがイエス様に初めて出会った時でした。そしてペトロはイエス様に従うようになりました。そんなペトロもイエス様から離れてしまいます。イエス様はペトロにこのように言いました。32節で「わたしはあなたのために信仰が無くならないように祈った」とあります。わたしとは、イエス様のことです。あなたとはペトロのことです。つまりここでは、イエス様がペトロに「あなたがわたしから離れるこのないように祈った」と言うことです。イエス様は、ペトロが私(イエス様)から離れることが分かっていたので、このように話したのです。また34節では、「ペトロ、言っておくが、あなたは今日、鶏が鳴くまでに、三度わたしのことを知らないと言うだろう」と忠告をしました。ペトロは、どうしてイエス様がこのように言うのか、全く理解出来ていませんでした。
 
 イエス様がゲッセマネで祈るためにペトロ達を連れて行った時に、イエス様を最初に裏切り、ファリサイ派の人々に売ったユダ達がイエス様を捕(とら)えにきました。そしてイエス様は捕えられて祭司(さいし)の家に連れて行かれました。弟子達も自分が捕えられるのが怖くなり、逃げてしまいました。もちろんペトロも逃げました。33節で「主よ、ご一緒なら、牢に入っても死んでもよいと覚悟しております」と言ったペトロでしたが、実際のその時が来ると怖くなり逃げてしまう姿は、人間の弱さであります。しかしイエス様がどうしているか気になったペトロは、イエス様の様子を祭司の家に見に行きました。
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ペトロは祭司の家の中庭で人々に紛(まぎ)れ込んで隠れていました。しかしここでペトロは他の人に気づかれてしまいます。一人目の人に「この人も一緒にいました」、二人目の人に「お前もあの連中の仲間だ」、そして1時間経過してから三人目の人にも「確かにこの人も一緒だった」と3人の人から問われましたが、イエス様と一緒にいたことを否認(ひにん)しました。そして3回知らないと言った後に、突然鶏が鳴き出して主であるイエス様に「今日、鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うだろう」と言われたことを思い出しました。その時にペトロとイエス様は、目が合いました。例えば子どもが何か悪いことをした時は、お母さんやお父さんの目を見ただけで、怒られると分かると思います。しかしイエス様の眼差(まなざ)しは、イエス様がペトロを赦(ゆる)している眼差しでした。
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イエス様は十字架に架(か)けられた後に復活をしました。復活したイエス様は弟子達に会いました。ペトロはイエス様と向き合うことを恐れていたことでしょう。しかしイエス様はペトロにあの時の出来事を責(せ)めることなく、問いかけます。「あなたは私を愛しているか」と問います。ペトロは、「はい、主よ、わたしがあなたを愛していることは、あなたがご存知です」と言いました。ペトロはイエス様のことを3回知らないと言いましたが、今度はイエスからペトロに「わたしのこと愛しているか」と3回聞いています。この問いによりイエス様は、ペトロがイエス様のことを3回知らないと言った罪を赦しています。このようにしてペトロはイエス様によって立ち直ることができました。
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ペトロも最初はイエス様と出会った時は、「これからは、イエス様を信じて従(したが)って歩んで行こう」と喜びと確信があったはずです。私は大学生の時に受洗しましたが、最初はペトロのようにイエス様を信じて従って行くことに、喜びと確信がありました。でもだんだんといつの間にか受洗した時の喜びや感動が薄れていきました。大学生の時は、学校生活とアルバイトなどで忙しかったです。社会人になってからは、自分の当番の時だけ教会に行っていました。教会に行く時だけイエス様を信じて、それ以外はイエス様のことを忘れて離れてしまっていました。ペトロは3回だけイエス様のことを知らないと言いましたが、今思うと私は3回以上、イエス様のことを知らないと言ってしまいました。これまでに何度もイエス様から離れてしまった自分がいましたが、本当にイエス様から離れないように祈り続けて下さっていたこと、これまで全ての自分の弱さや失敗などイエス様が理解していて下さったことを、聖書学校に入学してから気が付きました。
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最初はイエス様を信じて従って歩んでいたペトロでしたが、イエス様のことを知らないと言い、離れてしまいました。みなさんも時には、イエス様のことを忘れてしまったり、離れてしまったりしていると感じる時もあると思います。でも絶対にイエス様は私達のことを見捨てることはありません。私達がイエス様から離れてしまっても、イエス様は私達から離れることはないのです。
私達もペトロのように弱さがあり、時には失敗をしてしまうこともあります。しかし今ここにいるみなさん一人一人がイエス様から離れないように、イエス様が祈り続けて下さっていることを忘れないで下さい。

 

日本キリスト教団 坂戸いずみ教会

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